プロライセンスは必要なのか?
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プロライセンスは必要か?


BeasTV主催にて行われた座談会「ゲームと金」の2つ目の議題、「プロライセンスは必要?」の内容を記事にまとめました。




緊急座談会「ゲームと金」


議題1:「eスポーツ」の定義とは?
議題2:プロライセンスは必要?
議題3:eスポーツで日本を活性化できるのか?



出演者一覧
梅原大吾...司会 
ふ〜ど...司会 
折笠...司会 
ネモ...ALIENWARE所属。スクウェア・エニックス社員の兼業プロゲーマー。 
らや...ストVの若手プレイヤー。コミュニティの一員という立場から意見を語る。 
にゃん師...株式会社TOPANGA代表取締役。 
かげっち...会社勤めをしながら格ゲーイベントを主催。日本初のTwitchパートナー。 
ハメコ。...ゲーム関連のフリーライター。EVO Japan 2018運営委員長。 
西谷亮...アリカ代表取締役社長。カプコンにて「ファイナルファイト」「ストリートファイター2」の生みの親。 
浜村弘一...株式会社Gzブレイン代表取締役社長。ファミ通グループ代表。株式会社エンターブレイン代表取締役社長、カドカワ株式会社取締役を経て、現職。 
アカホシ...ウェルプレイド株式会社代表。スト4ではザンギエフ使いの強豪。 
がまのあぶら...IT関連の仕事をする傍らeスポーツ系イベントの企画、運営、配信を手がける。「ウメハラがぁ!」の電波実況で有名。 
梅崎伸幸...株式会社Sun -Gence代表取締役。国内トップレベルプロeスポーツチームDetonatioNGamingを率いる。

 


元動画:BeasTV 緊急座談会!ゲームと金
 



↓ 以下、内容



議題2:プロライセンスは必要?

梅原:
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次に、「プロライセンスは必要?」というテーマです。今日はここが主戦場なのかなという気はしてます。ではまず皆さんに聞きます。赤が反対(不必要)、青が賛成(必要)でお願いします。

梅原:
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青が多いですが、青の人も色んな意見があるのかなと思います。青だからと言って全面的に賛成では無いという人が多いのかなと。

ふ〜ど:
らや君が赤なので、何か意見がありそうです。

らや:
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はい、ライセンスには2年という有効期限があって、それが切れたら、eラーニングでの講習が必要ですよね。それは何のためですか?まるで運転免許証のように感じてしまい、「僕がプロです」って主張するためだけなんだったら、いらないのかなと思ってしまいます。

浜村:
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有効期限については、登録して頂いているという感覚なんですね。2年間経って、継続する意思がありますかという感覚です。

というより、何のためにライセンスがあるのかなっていう説明が必要だと思います。ライセンスっていうのは、まず、日本では法規制を乗り越える必要があります。我々も団体を作る時に2つ目標があって、1つはJOC(※日本オリンピック委員会)に加盟して選手を国際大会に出すこと、もう1つはIPホルダー(※開発メーカー)が大会をする時に、賞金を出したいのに法律の問題で賞金が出せないことを解消したかったというのがあります。それで、登録した状況が変わっているか、継続する意思があるかってのを確認する必要があったので、2年という期間を設定しました。

らや:
引退するタイミングを、選手じゃなくて協会側が決めるっていうのは、他のスポーツではないですよね。

浜村:
いや、あると思いますよ。有効期限というか、選手として活動してますかの確認が必要だと思ってます。まだJOCにも加盟してない身ですが、例えば選手を海外に派遣したい時に、その大会を開く必要がありますが、その時に出て頂けるのかどうか、意思確認が必要になります。

梅原:
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アンケート結果が出ました。青が27%,赤が73%です。大分ここの意見とは違いますね。予想以上に赤が多い。

がまのあぶら:
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そもそも論なんですが、賞金が無くても成立するスキームがあっても良いのかなと思ってます。賞金はグレーなところが多少あるので、そこで危ない橋を渡るよりも、プレイヤーが活躍できる場作りのために使った方が良いと思うんですよ。賞金なしのスキームで、プレイヤー達がどこまでカッコいい所を見せられるか、そういうのもあって良いのかなと思います。そこでスポンサーを得られれば、そこから貰える金額は、賞金よりも全然多いわけですから。

浜村:
グレーな部分があるというのはすごく憶測が混ざってます。疑問があれば質問をして頂ければ答えます。スポンサーという話がありましたが、これから下の世代が出てきた時に、スポンサーに彼らプレイヤーが見つかりやすくなると思うんですね、そこの部分は凄く意味があるかなと思ってます。

ハメコ:
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グレーな部分について、合法性は大丈夫なのかという話も多方から出てます。プロライセンスが無くても、労務契約によって賞金が出せるという話もありますが、その点はどう思いますか。

浜村:
何故そういう話が出てくるのかわからないんですよ。日経産業新聞にも載りましたが、景品表示法でも、「プロへの報酬なら問題ない」ということなんですね。それと、官公庁にも相談してないみたいな言い方をずっとされてきたんですけど、消費者庁と話してるんですよ。僕も消費者庁に5回も行って、来てもらったりもして。どうやったら問題ないかをそこで議論しました。そこで、消費者庁から2つ方法を提示されました。1つは、取引付随性の無い、第三者がお金を出すなら問題ないという方法。もう1つが、プロライセンスであれば、その人が高度なパフォーマンスを出せるということがわかりやすいので、報酬を出すことが出来ますという方法。その議論があって、じゃあプロライセンスが良いんだねという話になりました。そして、CESA(※コンピュータエンターテインメント協会)やJOGA(※日本オンラインゲーム協会)の方々が30人以上集まって、その中には法務担当の方々も居ました。一部上場企業のコンプライアンスの上でも、これなら問題ないという方法を作りました。それを持って、消費者庁と関係省庁に行って話を聞いてもらって、問題ないという話になったんです。また、確か2/7の国会予算委員会で世耕大臣が発言したところによると、「これから民間団体がプロという制度を始めようとしているが、プロという制度なら問題がない。消費者庁と整理は付いているので、今後は選手に賞金を出すことの助けになる」と言った旨の発言をされています。これはYouTubeにも動画が上がってるので見てほしいです。警察にも、経済産業省にも行きました。このように皆に聞いた上で決めたやり方なんです。だから、僕らはこれがグレーなやり方だなんて一切思っていません。

ネモ:
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このライセンスは副業に当たるのでしょうか?社会人の人はこのライセンスを発行出来るんでしょうか?

浜村:
副業に当たるかどうかは、その会社の判断によるんですね。これも散々議論はしたんですが、所属している組織と個々に話をしてもらうしかないなという結論に至りました。

ネモ:
海外の選手には、ライセンスは発行しないですよね。

浜村:
僕らが対象にしたのは、日本の居住者です。ただし、推薦選手という制度があり、海外から招待されるような選手というのは、ライセンス発行に値するとして、メーカーからの推薦によりライセンスを発行する予定です。

ネモ:
ちなみにライセンスが取れなかった人は、大会に出られないんですか。賞金いらないから大会に出たいって人も居ると思いますが。

浜村:
それは全然想定してまして、プロアマ混合の大会であれば、予選大会を通過した時点でプロライセンスを発行するとか、そういったレギュレーションを取るかもしれません。IPホルダーの方から、事前に大会のレギュレーションの相談を頂くことになってます。これは、(eスポーツ)連合の公認大会であればの話です。

にゃん師:
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生主とかがステージに出る時、労務契約という形で報酬を受け取りますよね。例えば東京ゲームショーとかで、メーカーが特定のプレイヤーを呼ぶ時も、労務契約という形を取ってます。賞金も労務契約という形で渡すのであれば、ライセンスを発行する必要はあるのでしょうか。

浜村:
先程の話とも同じですが、一般の方がいきなり大会に出て、いきなり労務契約として賞金を貰おうとすると問題なんですね。要は景品表示法って、賞金で一般の素人の方を釣ってしまうと問題になるんですよ。メーカーとしてはコンプライアンスもあるし、そのリスクは負いたくないわけです。そのため、どこからがお金を払ってパフォーマンスをするプロなのかどうか線引きをする必要がありました。プロライセンスという形を取ることによって、それがわかりやすくなるんです。これが今回のライセンスの考え方です。如何でしょうか?

にゃん師:
はい、メーカー側の判断ということであれば凄く納得が出来ます。プロライセンス自体が、協会の意思というよりもメーカーの意思が強いということなんですかね。

浜村:
IPホルダーが半分、協会の人間が半分、という構成になってます。ライセンスを作る時はIPホルダーの方も大勢いらっしゃいまして、一緒に考えました。自分達のゲームを盛り上げたい、eスポーツを盛り上げたいという思いが強く、IPホルダーが賞金を出す大会も可能にしたかったんです。そこで出来上がったのが、今回のライセンスです。

ハメコ:
凄くもったいないなと思うのが、この説明をちゃんとしていれば、70%も反対なんて状況にならなかったのではと思います。ゲーマーとして大会が増えるのも嬉しいし、IPホルダーさんが身銭を切ってくれてるのも嬉しい。最高じゃないですか。それなのに、このような評判になってしまっているのは、凄く悲しいですよね。なんでこういう説明をしなかったのでしょうか。

浜村:
説明が出来なかったのは申し訳ないです。そこは素直に謝りたいです。今の段階で完璧な制度だとは思っていないのですが、発足を急いだ理由として、早いうちに実績を作ってJOCに加盟したいというのがありました。ジャカルタが8月から始まるので(※2022年からアジア競技大会においてeスポーツが正式種目化決定。それに伴い、2018年インドネシア・ジャカルタにてデモンストレーションが実施される予定)。それと、3つの団体を1つにしたのも同じ理由で、国内に1つのスポーツ団体じゃないとJOCに加盟出来ないという理由からでした。

もうひとついいですか。よくネットで言われてますが、公認付きの大会だけを賞金大会にするつもりは無くて、今までメーカーさん主体でやられてきた賞金大会を止めるつもりは一切ありません。今あるものを否定するものでは全く無いんですね。eスポーツが盛り上がるためにはスター選手が必要であって、スター選手が出てくる場を減らすようなことは一切したくありません。そこは信じて頂ければと思います。

アカホシ:
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スマホのゲームで大会を運営することが多いんですが、メーカーさんによっては、連合さんの仕組みを使うべきか否か迷っている場合もあります。メーカーさん独自でやれている所もありますので。それはどうお考えですか。

浜村:
全然問題なく、開催して頂ければと思います。止める理由は無くて、我々は選手の活躍できる場が増えれば良いと思ってます。法的な問題等、質問があれば我々はいつでも答えますし、だからと言って、連合に加盟しろとかそういった事は一切言いません。

アカホシ:
それと、連合(JeSU)に加盟している選手が、連合以外の大会に出た場合、処罰等はありますか?

浜村:
全然問題ないです。ただ、IPホルダーが承認していない大会で、大規模な賞金が出る場合はIPホルダーから待ったが掛かる可能性がありますが、それは本当に例外的なパターンだと思ってます。

かげっち:
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スト5なんかで言うと、ビジネスではなく個人主体で実施される大会のコミュニティはありません。そのためプレイヤーサイドからの要望なんですが、IPホルダーの承認が得やすくなるようにしてほしいです。

浜村:
メーカーさんによっては、そういった承認の相談をどこに言えば良いかわからなかったりします。そういう時はJeSUに相談して頂ければと思いますね。

ふ〜ど:
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プロライセンスって、これを取得したから「食える」って思えるかどうかが大事だと思うんです。ライセンスタイトルの今後の大会って、まだ何も発表されていないですよね。

浜村:
IPホルダーさんが今後必ず大会をやっていきます。今後大会をやっていくタイトルで無ければ、認定タイトルには選ばないんですね。ただ、その発表については、メーカーさんに任せてます。連合としては、東京ゲームショーでやりますが。

ふ〜ど:
それであれば、ライセンスはいらないのかなと思いました。というのも、東京ゲームショークラスで賞金が出たところで、それで何人食っていけるのかなと疑問に思うんですよ。ライセンスを取ったら、今後これだけの大会に出られて、これだけメリットありますよ、っていうのが明確じゃないと、あまり取る意味は無いのかなと思います。

浜村:
確かに。認定タイトルを決める時に大会の頻度とかは話をしたんですが、それの日程をいつ発表するかまでは決めていませんでした。

それと、先程「賞金よりも協賛(スポンサー)の方がよっぽど食える」という話がありましたが、そちらについても働きかけて行きたいと思ってます。今、「プロになれる方はどの程度いますか。どうすればスポンサーできますか」といった問い合わせが来るようになりました。それは凄い前進だなと感じてます。そこに対して僕らがお金を取るなんてことは一切しませんから、選手に協賛が付くようにしていきたいと思ってます。

梅崎:
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PCゲームとか、タイトルが少ないと思います。日本のリーグオブレジェンドの大会には賞金が無いですし、スプラトゥーンの大会とかもありません。もっとタイトルを増やして、色んなゲームに賞金が出るようにしてほしいです。

浜村:
要望ですね(笑)
今、様々な問い合わせが来てまして、「eスポーツのタイトルとして大会をしたい」と言う話を、海外のメーカーさんからも、国内のメーカーさんからも言われてます。それと、連合って、CESAとJOGAの他にJAMMA(※日本アミユ一ズメントマシン協会)の支援も入ってるんですね、つまりアーケードです。今後はアーケードのゲームからもどんどんタイトルが出て来る可能性があります。

がまのあぶら:
ライセンスについて不満を持っているプレイヤーが居ます。ライセンスを付与する方法について、メーカーさんによって発表があったりなかったりで、その時点で「切り捨てられた」と感じたプレイヤーも多いようです。プレイヤーに除外感を与えるのではなく、多くのプレイヤーにライセンスを与えてほしいです。これは要望です。

浜村:
ライセンス付与の方法は2種類あります。1つ目は、メーカーさんの推薦。これは過去の実績等を考慮し、プロに然るべき方々に持って頂くという方法。2つ目として、連合のレギュレーションに沿った形で大会を実施し、そこで良い成績を残した方にライセンスを発行するといった方法です。その大会というのは、必ずしもIPホルダー主催である必要は無いんですね。事前にこういったレギュレーションで大会をやりたいとご相談頂いて、IPホルダーさんに承認してもらえれば、ライセンスを付与する大会は出来ますし、そういった場が増えれば、多くの方にライセンスを持って頂けると思ってます。メーカーさんの場合、大会を実施するのは宣伝部です。しかし彼らだけでは人が足りないので、他の大会をライセンス付与大会として承認するということはこれから出てくると思ってます。

アカホシ:
浜村さんに質問が集中しちゃってますね。ところで、ふ〜どさんやネモさんがこのタイミングでライセンスを取得したのは、どういった心境だったのでしょうか?

ネモ:
記事の方で「CESA協力の下」という文面があったので、発行することにしました。というのも、CESAって日経BPと協賛して東京ゲームショーを開催してるとこなので、あの規模の大会が出来るのであれば、周りも後から付いてくるだろうなと。

ふ〜ど:
僕は、お得だなと思ったので。必要か必要じゃないかと言われれば、不必要に入れましたけど。ただ、今回50万円賞金で入ったので、完全にお得でしたね(笑)

アカホシ:
梅原さんはどうでしょうか?

梅原:
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一通り意見も出たかと思うので話させて頂きます。今回のライセンス制度の話って、全くワクワクしないんですよ。今回の話って、凄く散らかってる物を、綺麗に整理整頓しましょうってだけの話ですよね。勿論、そういう人が居るのは大事だと思います。しかし、そのワクワクしないということ、それが70%が反対という結果にも表れました。彼らは「得すんのは一部の奴だけじゃん」という思いを持っていて、それは僕も同じように思いました。でも、業界を支えていくのは70%の彼らなんですよね。今回の議論を聞いても、正直その印象は変わってないのかなと。

僕がライセンスを貰った理由ですが、正直、どっちでもいいというのが感想でした。無くても食えますからね。むしろ、今の楽しさが失われるのであれば、いらないなと思ってました。しかし、役割というか、協会の人達、仕組みを作ってくれる人達の邪魔をするのは嫌だなという個人的な信念がありました。だから貰うことにしました。

今回のライセンス制度については、机に座らされて「はい、こういう風に決まったから」と言われてるようで、全くワクワクしません。この制度によって、日本がどのように活性化していくかも全然見えないんですね。3つ目のテーマを選んだのもそういう理由からです。現状、eスポーツ協会、メーカー、プレイヤー、大会運営等は一丸となっていないじゃないですか。でも、もしそれが一丸となった時に、若者が「日本ってどうなっていくんだろうな」ってワクワクするようなことが出来るのであれば、それは滅茶苦茶協力したいなという思いがあります。今は業界を変えていく大事な時期。お金を貰えることも大事かもしれないけど、もっと大きな話にして、日本が活気付くようなことをしたいですね。

アメリカや韓国がeスポーツ大国と言われてますが、本気を出せば日本の方が強いんだぞという気概があります。それもあって、今回は青(プロライセンスは必要)にしたという経緯です。

折笠:
では、観覧者の方からも質問を取りたいですね。

観覧者A:
犯罪行為やプロにふさわしくない行為をした場合、ライセンス剥奪はあるのでしょうか。

浜村:
無いことは無いですね。チート行為を明らかにやってるとか、賭博や八百長との繋がりが確認できた場合とかですね。

観覧者B:
先程がまのあぶらさんからもありましたが、スト5において、ライセンスが付与されたのがプロツアー参加者のみだったのはどうかなと思いました。そこはやっぱり、メーカーさん任せになってしまうんでしょうか。

浜村:
そうですね、今の段階では、IPホルダーさんにどう進めていきたいかを聞いてます。今後についてはこれから議論する対象になっていくと思います。

観覧者B:
私はPC業界の人間で、スポンサーする側としては、協会側からも今後の調整をお願いしたいです。

折笠:
では、ここで一旦休憩となります。


(テーマ3に続きます)
 



以上







元ネタ

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